腹横筋と呼吸

腹横筋(Transversus Abdominis Muscle)は、内腹斜筋への刺激を高め、前、横、後ろ方向からの体幹部の安定性を高めます。

【分類】
腹横筋は、内腹斜筋に覆われ、下位の6つ肋軟骨の内面・胸腰筋膜・腸骨稜と鼠径靱帯の外側1/3部から起こり、筋束は前方に横走し、やや扇状に広がって腱膜となり、上部では腹直筋鞘後葉に、下部では腹直筋鞘前葉に入って、白線に停まります。
腹横筋の最下部の筋束と腱膜下縁の内側部はそれぞれ精巣挙筋と鼠径靱帯の構成に加わります。

腹横筋は付着部位が、上側が横隔膜に、下側は骨盤底筋群に、後方は多裂筋と重なっていて、インナーユニットの機能に大きな役割を持っています。

表2.腹横筋の付着部位と作用
筋名 起始 停止 機能 神経支配
腹横筋 第7~12肋軟骨、腸骨稜内側唇前2/3、胸腰筋膜深葉、
鼡径靭帯外側1/3 剣状突起、白線、
恥骨結節 腹部の圧迫、
腹腔内圧上昇、
下位肋骨の下制 肋間神経(Th7~12)、
腸骨下腹神経(Th12,L1)、
腸骨鼡径神経(L1)

【触診】
上前腸骨棘からやや内側、やや足方。
超音波によって以下が確認できるので、これらをイメージしながら収縮を触知するとわかりやすい。

ドローインが正確に遂行できている場合
⇒まず腹横筋の収縮によって筋膜が緊張し、その後に腹横筋の筋厚が増加

ドローインが正確に遂行できていない場合
⇒腹横筋の収縮と同時に内腹斜筋の筋厚が著しく増加
【機能】
1. 腹圧の上昇
腹圧の変化と最も密接に関係していて、腹横筋が両側に収縮すると腹囲が減少します。下腹壁を平坦化することにより、腹圧が上昇し胸腰筋膜と前方の筋膜が緊張します。
腹横筋の線維は、概ね水平方向に走行するため体幹運動を生みだす能力は限られているので、従って腹横筋による腰椎骨盤領域への安定性への関与は腹圧の上昇、胸腰筋膜の緊張、仙腸関節・恥骨結合への圧迫となります。
腹横筋をトレーニングすることで、緩んだ腹部を引き締めたり、内臓を正常な位置へ戻したりする効果もあります。
腹横筋は内腹斜筋と共同しやすいため、アイソレーションには、「軽い力で、少し下腹部が凹む程度のドローイン」が重要です。

2. フィードフォワード機能
腹横筋は運動の際、最初に収縮する筋肉と言われていて、脊柱の安定性を高めることで、人は四肢を動かすことができます。上肢を動かす場合その動作の0.03秒、下肢を動かす場合その運動の0.11秒前に腹横筋が先行して収縮します。このことを腹横筋のフィードフォワード機能と言います。
腰痛患者や腰痛の既往歴のある人の腹横筋のフィードフォワード機能が低下し、適切な腰椎骨盤帯の安定化ができないという報告があり、適切に働かない腹横筋は腰痛の原因、それに伴う不定愁訴の原因、代償動作の原因となるため、ドローインはリハビリテーションの中で腰痛対策のエクササイズとして腹横筋の再学習の手段として多く用いられています。
そのため、腹横筋はトレーニングをする際に重要となってくる筋肉です。

3. 下位肋骨の下制
腹横筋は、腹横筋とともに下位肋軟骨の下制を行います。
リブクローズマッスルであり、胸骨下角が90°以上のリブフレアの改善にために重要な筋肉です。

【筋力トレーニング】
腹横筋が収縮する際、連動して横隔膜と骨盤底筋群が収縮しなければ、単に腹部内容物が移動するだけで、胸腰筋膜の緊張は弱く、腹圧はあまり上昇しません。
腹部を凹ませれば下部体幹部の安定する訳ではなく、インナーユニットとして働いているかを確認します。呼吸で腹部の筋群の働く順序は深部より、腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹直筋の順に働いていることを確認します。
腹部を引き込む意識のみや、腹部を固めるイメージがあると逆転現象が起こり、腹横筋の機能異常が起きます。

1.アブドミナルブリ-ジング(Abdominal Breathing)

2.ドロ-イン(Draw In)

【ストレッチング】
1. スフィンクス
2. コブラ
3. アップドッグ

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